短編映画(仮題)「シガレット」箱書き

作成日 2026-08-27 / 原案 hand-written/cigarette.txt / 応募先 AIFJ 2026 ナラティブ部門

本ドキュメントは、口述メモ hand-written/cigarette.txt に記された恋物語の構想を、第2回 AI日本国際映画祭(AIFJ 2026)ナラティブ部門への応募を前提に、シーン単位の構成表(箱書き)へ整理したものです。合計尺はエンドロール込みで 10分00秒 に設計しています(部門規定は90秒以上15分以内)。

  • 物語は「嗜好の入れ替わり」を軸にした A と K の恋愛未満の物語です。全6箱で構成し、合計 10分00秒(本編 9分15秒 + エンドロール 45秒)とします。この尺は、規定上限15分に合わせた当初設計 14分30秒 を、制作量の抑制と鑑賞時の間延び回避のために短縮したものです(2026-08-27 決定)。
  • 2026-08-27 の追加口述を反映し、各箱に会話の要点(志望校の言い合い、Twitter のやりとり、引っ越しの依頼による渡米の告知、タバコとコーラの会話、結婚後のカフェ)を追記しました。
  • ラストシーンでは、A と K はそれぞれ別の人と結ばれており、互いに気づかないまま A がコーヒーを、K がコーラを注文します。別々の人生を歩みながら、嗜好にだけ相手が残っている、という結末です(2026-08-27 の打ち合わせで確定)。
  • 原案メモ中の「B」は K の言い間違いとして扱います(2026-08-27 の打ち合わせで確定)。
  • 各箱の「起きること」と「会話の要点」は原案・追加口述由来、「演出メモ」は本ドキュメント作成時の提案です。両者を明示的に区別しています。

背景と前提

原案は、二人の男女の関係を「嗜好の入れ替わり」というモチーフで描く物語です。男性 A はコーラとタバコが好き、女性 K はコーヒーとタバコが好きという設定から始まり、疎遠になる過程で互いの好みが入れ替わっていきます。原案の口述メモから、物語の核となる部分を引用します。

最初はコーラが好きだったAがKのようにコーヒーとタバコが好きになっていくというようなシーンがあった方がいいかなと思いました。AはKを思い出しながらコーヒーとタバコを吸うみたいなところですね。で、Kに関してはアメリカに行くわけなんですけれども、そこでコーヒーがもともと好きだったんですけど、コーラとタバコを吸うようになると。これもやっぱりKはAをおもってのことだったっていうことですね。

[cigarette-memo (2026/08), hand-written/cigarette.txt]

原案メモに対して、打ち合わせで次の2点の修正が確定しています。本箱書きはこの修正後の内容を正とします。

  • ラストシーンの注文は、原案メモの記載(A がコーラ、K がコーヒー)とは逆であり、正しくは A がコーヒー、K がコーラ を注文します。つまり二人は入れ替わった嗜好のまま、相手の元の好物を頼みます。
  • メモ中に1箇所現れる「B」は K の言い間違いであり、K を指します。

さらに 2026-08-27 の追加口述により、各箱の会話の要点と小道具が具体化しました。主な追加は次のとおりです。

  • 箱1 の部室での会話は、大学の志望校を言い合い、二人とも大学へ進むことを確認する内容とします。部室は散らかった、情感のある空間とします。
  • 箱2 の序盤に Twitter でのやりとり(修了式に出るか迷う投稿と、「海行こう」という返信)を置き、そこから車、海へとつなぎます。
  • 箱3 では、K が「今度うち片付け手伝いに来てよ」と頼み、理由を聞いた A が引っ越し(海外行き)を知る、という流れで渡米が明かされます。その後、タバコとコーラ・コーヒーをめぐる会話が入ります。
  • 箱5 では、A と K はそれぞれ別の人と結ばれており、各々が同性の友人と結婚生活などの他愛のない会話をします。この変更により、結末の意味は「別々の人生を歩みながら、嗜好にだけ相手が残っている」というものになります。

追加口述には話者の入れ替わりと思われる箇所が2つあり、本ドキュメントでは次のように解釈しています(未確定事項 にも記載)。

  • Twitter のやりとりは口述では発言者・返信者の両方が「A」でしたが、A が迷いを投稿し、K が「海行こう」と返信する と解釈しました。口述で最初に「A」と明言された発言者をそのまま採り、重複した2つ目のみを言い間違いとみなす、最小限の修正です。
  • 「そういえばタバコ吸い始めたんだ」は K が A に向けて言う台詞 と解釈しました。直後に A が「コーラとタバコ相性合うんだぜ」と自分の嗜好を弁護する流れと整合するためです。

応募要件による制約

応募先である AIFJ 2026 の AI ムービー・ナラティブ部門には、次の規定があります。箱書きの尺設計はこれらを前提とします。

  • 長さは 90秒以上15分以内(タイトル・エンドロールを含む) です [aifilm-jp (2026/08), 応募要項]。
  • アスペクト比 16:9、解像度 FHD(1920×1080)推奨・4K 可、形式は MP4 または MOV です [aifilm-jp (2026/08), 応募要項]。
  • どの工程で、どの生成 AI ツールを、どの程度利用したかを開示する義務があります。制作中から使用ツールとプロンプトの記録を残す必要があります [aifilm-jp (2026/08), 利用規約]。
  • 応募締切は通常 2026-09-10($39)、遅延 2026-09-30($49)です [filmfreeway (2026/08)]。

喫煙・飲酒の描写について補足します。同部門の禁止事項は著作権侵害・無断ディープフェイク・差別表現・ヘイトスピーチ・ポルノグラフィ・過度の暴力であり [aifilm-jp (2026/08), 応募要項]、喫煙描写と20歳の飲酒描写(日本の法定飲酒年齢は20歳)はこれに該当しません。ただし高校生時点の A と K にはタバコを持たせない構成とし、喫煙描写は20歳以降の箱に限定します。これは規定違反を避けるためではなく、未成年喫煙の描写自体を避けるための本ドキュメントの提案です。

構成方針と尺配分

物語は全6箱で構成します。構成上の判断は次の3点です。

  • 思い出2箱(ビーチ・屋上)に本編の半分以上を割く。 後半の「嗜好の入れ替わり」が観客に効くためには、入れ替わる前の二人の空気感が十分に描かれている必要があるためです。
  • 屋上を最長の箱にする。 他愛のない会話、撮影、K の渡米の告知という転換点をすべて含む、物語の中心となるシーンだからです。
  • 入れ替わりはモンタージュで描く。 モンタージュとは、短いカットを連ねて時間経過や変化を圧縮して見せる編集手法です。疎遠になる数年間を台詞なしで描くことで、ラストのカフェの会話の日常感を引き立てます。

合計尺は当初、規定上限15分に合わせて 14:30 で設計しましたが、2026-08-27 の打ち合わせで 10:00(本編 9:15 + エンドロール 0:45) へ短縮することを決定しました。理由は次の2点です。第一に、カット数は尺にほぼ比例するため、尺の短縮は生成・選別・編集の作業量を直接減らします。第二に、この作品は事件ではなく空気感で見せる類の物語であり、長尺は間延びのリスクを高めます。短縮にあたり各箱の担う内容(会話の要点)は削らず、1箱あたりのカット数と1カットの滞空時間を切り詰める方針とします。箱4(モンタージュ)は引き続き、全体の尺調整の伸縮バッファとします。

導入 ビーチ 屋上 モンタージュ カフェ ER 1:00 2:15 3:00 1:30 1:30 0:45 0:00 1:00 3:15 6:15 7:45 9:15 10:00 設計目標 10:00。規定上限 15:00 に対し 5:00 の余裕(ER = エンドロール)
図1: 全6箱の尺配分。合計 10分00秒(うち本編 9分15秒、エンドロール 45秒)。目盛りは本編開始からの経過時間。

箱書き(シーン構成表)

各箱の「起きること」と「会話の要点」は原案メモおよび 2026-08-27 の追加口述に由来する内容、「演出メモ」は本ドキュメント作成時の提案(自作)です。会話の要点は台詞の設計図であり、実際の台詞は脚本化の工程で書きます。演出メモは脚本化の際に取捨選択してください。

箱1 導入 — 部室と志望校の会話(1:00)

場所・時間高校の写真部部室(散らかった、情感のある空間)、放課後
登場人物A(高3・男)、K(高3・女)
起きることA と K が写真部の仲間であること、A はコーラ好き、K はコーヒー好きであることを提示する。二人は大学の志望校を言い合い、互いに大学へ進むことを確認する。
会話の要点志望校を言い合う。二人とも大学に行くという事実がここで観客に伝わる。
演出メモ提案: 散らかった部室(機材、乱雑に貼られた現像写真、飲みかけのコーラの瓶とコーヒーカップ)で二人の関係と嗜好を画で提示する。タバコはこの箱では出さない(未成年のため)。以降すべての箱で反復する「飲み物の画」をここで確立する。同じ大学に進むことは、ここでは明かさず箱3で分かる形にしてもよい(演出判断)。
尺1:00(累計 1:00)

箱2 ビーチ — Twitter のやりとりと修了式の日(2:15)

場所・時間SNS 画面 → A の車内 → 二人だけの海岸、高3の修了式の日
登場人物A、K
起きることA が Twitter に「今日の修了式に出るか迷う」と投稿し、K が「海行こう」と返信する(発言者の割り当ては解釈。未確定事項 参照)。修了式をサボり、免許を持つ A の運転で海へ行く。K は免許を持っていない。A は K を被写体に、誰もいない海で写真を撮る。
会話の要点車中は「この間みんなで行ったさ」のような、以前の集団での外出を引き合いに出す気安いノリの会話。二人きりであることを特別視しない空気を作る。
演出メモ提案: 冒頭の SNS のやりとりはスマートフォン画面のカットで見せる。実在サービスの画面をそのまま再現すると商標・意匠の問題があり得るため、それと分かる架空の UI にするのが安全。車内では K が助手席で缶コーヒー、A が運転席にコーラのペットボトルという配置で嗜好を反復する。撮影シーンはファインダー越しの K の表情を軸にし、二人の「恋人未満」の距離をレンズ越しの視線で表現する。
尺2:15(累計 3:15)

箱3 屋上 — 福岡の夜景と渡米の告知(3:00)

場所・時間福岡県のとあるビルの屋上、20歳の初夏の夜(2026-08-27 の参照画像制作時に季節を確定)
登場人物A(20歳・大学生)、K(20歳・大学生)
起きること同じ大学に進んだ二人がビルの屋上に忍び込み、福岡の夜景を見ながら缶チューハイを飲む。他愛のない会話の流れで、K の引っ越し(渡米)が明かされる。A はここでも K を被写体に写真を撮る。
会話の要点(1)「大学どう?」「バイトどうだ」といった近況の他愛のない会話。(2) K が突然「今度うち片付け手伝いに来てよ」と頼む。A が「どうして?」と聞くと、「引っ越すから。海外行くから」と返り、A は K のアメリカ行きを知る。(3) その会話が終わった後、K が「そういえばタバコ吸い始めたんだ」と A に言う(話者は解釈。未確定事項 参照)。A は「なんかやってらんなくてさ」と理由をこぼし、K が「私も」と受ける。そこから A が「コーラとタバコ、相性合うんだぜ」と続け、K は「コーラは子供すぎるでしょ。私はコーヒー派だな」と返す。
演出メモ提案: 二人とも20歳になったので、ここでタバコの画を解禁する。この時点の組み合わせは A =コーラ+タバコ、K =コーヒー派+タバコであり、入れ替わる前の嗜好が台詞で明示される、物語上の基準点となる。渡米の告知は「片付けの依頼」という日常の頼み事に包んで軽く落とし、A のリアクションを長回しで受ける。「なんかやってらんなくてさ」「私も」のやりとりは、二人が同じやるせなさを共有していることを示す。タバコが二人を結ぶモチーフである理由がここで裏づけられるため、軽い調子のまま、間を大切に演出する。
尺3:00(累計 6:15)

箱4 モンタージュ — 嗜好の入れ替わり(1:30)

場所・時間日本(A の日常)とアメリカ(K の日常)、渡米後の数年間
登場人物A、K(別々の場所、二人が同じ画面に入ることはない)
起きること二人は次第に疎遠になる。A は K を思い出しながら、K のようにコーヒーとタバコを好むようになる。K はアメリカで、A を思ってコーラとタバコを好むようになる。
演出メモ提案: 日本とアメリカのカットを交互に並べ、A の机からコーラが消えてコーヒーに替わる過程、K の手元にコーラが現れる過程を、台詞なし・音楽主導で見せる。箱1から反復してきた「飲み物の画」の入れ替わりだけで語る。追加口述の時点で具体的なイメージは未定とされており(モンタージュ的な動画になる、という方向性のみ確定)、詳細はショットリスト工程で詰める。全体の尺調整の伸縮バッファもこの箱が担う。
尺1:30(累計 7:45)

箱5 カフェ — 背中合わせの再会(1:30)

場所・時間喫煙可能なカフェ、現在(禁煙が一般化した時代。A と K は30〜35歳)
登場人物A と A の友人(同性)、K と K の友人(同性)。A と K は互いに気づかない
起きることA と K はそれぞれ別の人と結ばれており、薬指には指輪がある。各々が同性の友人と別のテーブルで話しており、二人は気づかないうちに背中合わせの席に座っている。互いに相手を認識しないまま、A はコーヒーを、K はコーラを注文する。そこで幕が下りる。
会話の要点それぞれの席で、最近の結婚生活の話(A 側: 家を買いたいと言われている。K 側: 新婚旅行はヨーロッパ)や、「禁煙の時代にタバコが吸える店なんて珍しいよね」といった、本当に他愛のない会話をする。K がコーラを注文した後、K の友人が「コーラとタバコって合うの?」とからかう(2026-08-27 のコメントで追加)。
演出メモ提案: 薬指の指輪は手元のカットで示し、台詞で説明しない。「タバコが吸える店は珍しい」という台詞が時代(現代)と場所の特殊性を一度に説明してくれるので、字幕やナレーションによる時代の説明は不要。幕引きは友人の「コーラとタバコって合うの?」で、箱3の屋上で K が A のコーラをからかった構図が年月を経て K 自身に向けられる呼応になる。K は言葉で答えず笑みだけで受ける。
尺1:30(累計 9:15)

箱6 エンドロール(0:45)

内容クレジット表記。AIFJ の規定によりエンドロールも上映時間に含まれるため、設計目標 10:00 の内数として 0:45 を確保する。
演出メモ提案: 背景に本編で A が撮った K の写真(ビーチ・屋上)を静かに流すと、写真部というモチーフを回収できる。
尺0:45(累計 10:00)

補足・未確定事項・次工程

未確定事項

  • タイトル。「シガレット」は原案ファイル名 cigarette.txt に由来する仮題であり、未確定です。
  • Twitter のやりとりの話者。 追加口述では投稿者・返信者の両方が「A」と発話されていました。本ドキュメントは「A が投稿し、K が返信する」と解釈していますが、逆(K が投稿し、A が返信する)の可能性もあります。原案者の確認待ちです。
  • 「そういえばタバコ吸い始めたんだ」の話者。 本ドキュメントは K の台詞と解釈していますが、A が K に言う可能性もあります。原案者の確認待ちです。
  • 箱5 の「顔を判然とさせない」演出。 原案メモでは二人の顔が分からない状態が指定されていましたが、2026-08-27 のコメント(生成上の理由で顔を隠す設計の全廃、A と K は30〜35歳という年齢指定)を受け、ショットリストは顔を見せる前提で改稿済みです。背中合わせで互いに気づかない構図は維持しています。原案どおり「顔を見せない」を演出として復活させる場合は、ショットリスト箱5のカメラ位置のみ変更すれば対応できます。
  • 劇中 SNS の描き方。 口述では「Twitter」ですが、物語の現在が禁煙の一般化した現代である場合、当該サービスの現行名称は X です。時代考証として Twitter 表記の画面を出すか、架空サービスの UI にするか(商標・意匠の観点では架空 UI が安全)は未定です。
  • 各箱の尺。 上記の配分は設計値であり、脚本化・生成の結果に応じて箱4(モンタージュ)を伸縮バッファとして調整することを想定しています。

次工程

  • この箱書きの合意後、箱ごとのショットリスト(カット単位の設計表)を作成します。
  • 使用する生成 AI ツール(映像生成・音楽・整音)を選定します。AIFJ の開示義務に備え、選定時点からツール名・工程・プロンプトの記録を開始します。
  • スケジュールは遅延締切 2026-09-30 を実質の締切とし、逆算して工程表を引きます。

出典一覧

[cigarette-memo (2026/08)] 原案口述メモ. hand-written/cigarette.txt(本リポジトリ内)

[aifilm-jp (2026/08)] AI Film Festival Japan. "第2回 AI日本国際映画祭". https://aifilm.jp/

[filmfreeway (2026/08)] FilmFreeway. "AI Film Festival Japan 2026". https://filmfreeway.com/AIFilmFestivalJapan2026(2026-08-27 参照)

打ち合わせ決定事項(2026-08-27): ラストの注文の反転(A がコーヒー、K がコーラ)、「B」= K の言い間違い、の2点。

追加口述(2026-08-27, 会話内): 箱1 の志望校の会話、箱2 の Twitter のやりとりと車中の会話、箱3 の片付け依頼による渡米の告知とタバコ・コーラ・コーヒーの会話、箱5 の「別の人と結ばれた二人」への変更。